芸能界から見る中国市場⑥!越境ECとライブコマースを深掘り検証(中)の記事の続きです。
この記事の目次
日本が抱えた諸問題に対して業種間を超えた世界戦略が必要
芸能界から見る中国市場①!横浜東ロータリークラブにて卓話!でお伝えしているように日本は現在様々な大きな諸問題に直面しています。
人口減少や労働力低下などといった問題は経済に直結する問題であり、特に憂慮すべき問題と言えるでしょう。
経済や国力の大幅な低下の懸念がいたるところで問題提起されている中、中小企業をはじめとした日本の多くの企業にとって日本以外の海外とのネットワーク構築や販路拡大は企業存続のキーワードと言えるでしょう。
先述して来た越境ECやライブコマースはその活路に結びつく大きなコンテンツと考えられるでしょう。
市場規模の減退はテレビなどのメディアにおいても同様です。
インターネットがなかった時代はテレビはメディアの王様であり、メディアの主収益となる各種企業からの広告収入の多くはテレビ局に集まっていました。
ですが現在はインターネットという新メディアの台頭により広告収入の半分近くがテレビからネットに分散するようになっていると言います。
現在、テレビ局は番組制作費や局員の給料が減少していると言いますし、テレビ番組の下請けをしている制作会社やタレントのギャラなどもテレビ全盛期の頃より減少傾向にあります。
他方、テレビ局のシェアを脅かすようになったインターネットへ渡る企業の広告収入のうち、50〜70%という大半の収益がGAFAなど海外のプラットフォームに流失しているという新経済連盟による最新のデータもあります。
(詳しくはコチラから!)
つまり、テレビ全盛時代は日本国内で循環していたお金の大半が現在はどんどん国外流出し始め、制作会社やタレント、カメラマンやスタイリスト、メディアに関わるあらゆる業種の企業や人々の生活を少しずつ圧迫し始めているという現状が理解出来るのです。(厳密に言えばメディア以外の業種も含む)
この状況が続くことは日本経済の疲弊を生むばかりですし、人口減少問題などとも相まって我々日本国民1人1人の生活へ更に重たい問題となって近い将来のし掛かってくるだろうと考えられます。
だからこそ日本国内だけでは創生出来なくなった経済を国外から得ることが出来るような構造問題の解決は急務であり、越境ECやライブコマースなどの今後の時代の発展性が見込める市場開拓へ注力していく必要があると考えるのです。
日本のモノ売りの形をエンタメ化して世界へ輸出へ
さて、越境ECやライブコマースがモノを海外の消費者に売りたい日本のメーカーとKOL双方にとって相性やメリットが高く、相乗効果が望める事業だとこれまでにご紹介してきました。
ですが短期的ではなく、より長期的なマーケット戦略を考えた際に長く中国をはじめとした海外の消費者に購入してもらえるようなブランディング戦略が必須だと考えます。
しかしその為にはいくつもの様々なハードルが存在すると考えなければなりません。
芸能界から見る中国市場④!爆買い現象から読み解く未来の日本の在り方の記事で紹介しているように現時点ではまだ日本のモノ作りが世界におけるブランドの優位性があるものの、中国メーカーをはじめ世界のモノ作りの技術も高まっています。
メイドインジャパンだから安心!などと胡座をかいていてはたちまち世界の競争に置いていかれかねません。
また、AIやハイテク産業の急速な発展により世界のモノ作りの在り方はやがてボーダーレス化をフォーマットとし始める可能性も低くありません。
「良いモノを作る」ことはやがて世界中で当たり前だという価値観が蔓延する時代が来るかもしれないのです。
そのような時代を迎えようとしているからこそ「差別化や普遍性」が今後のビジネスの大きな鍵を握っていくと考えられます。
芸能界から見る中国市場⑤!爆買いに影響を与えたエンタメの力(下)の記事でエンタメのもたらす効果には大きく分けて
①新しい流行や文化をもたらす影響力
②記憶や思い出などとして個人の人生に長く深く影響を及ぼすような普遍性のある影響力
の2種類があると説明していますが、この2つのエネルギーを日本の商品を海外の消費者へ輸出していく「モノ売り」と同化させることは「差別化や普遍性」に大きく繋がるヒントだと考えます。
エンタメの力を最大限に引き出して日本の各種商品やサービスのブームが起こるような取り組みを行い、同時に何年経っても色褪せることのない普遍的な価値観や思い出と繋がる体験をエンタメコンテンツを通して海外の消費者に輸出していくのです。
越境ECやライブコマースが可視化された信用力を備えるKOLを要することが重要なように、様々なビジネスは現在業種を超えたボーダーレス化を加速化させています。
モノ売りとエンタメコンテンツの在り方も同様であり、むしろ今後の時代においては「エンタメ化されたモノ売りの形」こそが厳しい国際競走を勝ち抜く大きなヒントなのではないでしょうか?
日本のモノやサービスに勢いがある今のうちに取り組むべき施策は少なくないように思います。
韓流ブームのモデルを今こそ日本が世界へ輸出するべき
ここで思い出して頂きたいのが芸能界から見る中国市場②!何故中華圏で台湾や香港が重要拠点なのか?日本人が知らない中国事情の記事で詳細をお伝えした韓流ブームと韓国ブランドの世界戦略の成功例です。
韓国はドラマや映画、音楽などといったコンテンツを積極的に海外へ輸出する中で韓国の観光や化粧品、電子機器など、あらゆる商品の価値と需要を近年高めて来ました。
エンタメ化したモノ売りのフォーマットはすでに韓流ブームが前例を示しているのです。
日本もコンテンツの力においては決して負けていないはずです。
スラムダンクの聖地巡礼に鎌倉高校前駅を多くのアジア人観光客が訪れている様子などもその際たる例と言えます。
何年経っても色褪せることのない記憶や思い出があれば、人は自ずとリピートしてくれるものです。
「世界のどんな商品よりも日本のモノでなければならないのだ!」と海外の人に思ってもらう取り組みとして、モノ売りの形を音楽や映像などのエンタメコンテンツとセットにした仕掛けを戦略的に取り入れる価値はあるのでないでしょうか?
世界へ日流を輸出へ
平たく言えば日本のエンタメコンテンツとモノ売りをセットにしたブランディング戦略は「日流」と表現出来ると思います。
日流ブームを起こして日本のモノやサービス、人を世界へ輸出出来るマーケットを構築することに大きな活路が切り拓けるのではないかと個人的に思うのです。
その第一歩として爆買いの対象として現時点で最も販売力を持っている化粧品や健康食品などの日本の商品を越境ECやライブコマースを通じて海外の消費者へ販路を広げ、更なる市場拡大に繋げられるよう注力すべきだと考えます。
同時にファンから支持され信用力と帯貨能力を兼ね備えた影響力のあるKOLを育て、市場においての相乗効果を狙います。
また、人気KOLを集めたドラマや音楽、番組などの制作物を増産し、モノ売りとエンタメ性の要素が更に密接になるような試みも必要だと思います。
このように様々な業種を乗り越えて横並びの一枚岩となったボーダーレス型の日本ブランド創生の強化を図ることは、ビジネスやサービスの加速化を生み出し、海外に比べて展開が遅いと揶揄されるジャパニーズビジネスのスピード感を世界標準に切り替える効果もあると考えます。
そしてエンタメとそこに関わるモノや人の力を存分に利用しながら「流行の創出」と「長く愛される普遍的な価値観の提供」の2本立ての戦略とコンテンツを開発し、世界から長く支持されるオンリーワンの存在となる日本ブランドを構築すべきではないでしょうか?
芸能人も既存型とニュータイプ化が今後益々分類される時代を迎える
長らくシリーズとしてお伝えして来た「芸能界から見る中国市場」の関連記事は以上になります。
ですが最後に横浜東ロータリークラブの卓話では話していないオマケとなる個人的見解をお伝えさせてください。
それは、今後の時代は芸能界や芸能人の在り方も既存の形と時代に合わせたニュータイプの形とに分類が加速化していくであろう話です。
すでにYouTubeといったプラットフォームやユーチューバーが出現していることからも分かる通り、情報発信や人気の集まり方はテレビや芸能事務所所属の芸能人の専売特許ではなくなり始めています。
また、キングコングの西野亮廣さんやオリエンタルラジオの中田敦彦さんが実業家としても活躍を見せているように、新しい活動の在り方を模索する芸能人も現れるようになって来ました。
これからは益々そのような活動を目指す芸能人も増えていくことになると思います。
また、そういった価値観を持つ芸能人が増えていくことは一連の記事で伝えて来た越境ECやライブコマースなどとの在り方とも直結していく要素がいくつも生まれることになるのです。
例えば「カリスマ型」の芸能人は「モノ売り」という販売員要員としての企業や商品との組み合わせに相性が悪いと前述していますが、西野亮廣さんのように自分自身がタレントでありながら実業家目線も持ち合わせているプレイングマネジャーならば、企画や内容、条件次第では「面白い」と相乗りしてくる可能性もあるでしょう。
時代は目まぐるしいスピードで変化しています。
そしてそれは海外へ渡った方がより鮮明に感じることです。
僕は一連の記事を通じて少しでも新しいチャレンジ精神を持つ人と知り合いたいし、新しいビジネスチャンスを生み出していきたいと思います。
今回、ご紹介して来た一連の記事を踏襲した取り組みは日本や中国、アジアのパートナー達と共に少しずつ形に変える動きをしています。
恐らく近い将来発表出来る面白い展開もあるので、それはまた新たな記事にして発表したいと思います。
長らくご拝読頂きありがとうございました。
株式会社夢成人代表
小松拓也
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