日中友愛エンタメ大使(自称)の小松拓也です。

横浜東ロータリークラブで卓話した際の内容をまとめた記事の最終章です。

 

本記事では中国や中華圏でのビジネスに繋がっていく可能性があるであろう僕なりのビジョンを皆さんに共有させて頂きたいと思います。

 

日本コンテンツは中国の後追いコンテンツが増え出しているという現状

ところで皆さんは近年日本が中国の後追いをする形でスタートさせるコンテンツやサービスが増え始めているのをご存知ですか?

 

例えば日本でも近年人気を集めているTik Tokは中国企業が運営するアプリです。

また、AKB48グループメンバーなども利用することで人気を高めているライブ配信アプリのSHOWROOMなどは中国のライブ配信アプリ「YY直播」や「花椒直播」などのビジネスモデルに倣う形で日本に輸入された文化です。

 

スマホ一台あれば生放送番組が発信出来てしまうというサービスは今でこそ当たり前になっていますが、サービス開始当初は画期的な発明であったと言えるでしょう。

 

しかも生放送を配信するユーザーの多くは世間的には無名な一般人ですし、サービス開始当初は「いったい誰が素人の生配信なんか見たがるんだ?」などとサービス内容に懐疑的だった方もいるかもしれません。

ですが一般人が大多数を占める生配信サービスは今や不動の人気を築き、SHOWROOMや17LIVEなどの人気ライバーの中には仮想空間で視聴者から投げ込まれる投げ銭によって月の収入が100万円を超えるユーザーもいるというのです。

 

かつてならばにわかに信じがたい話ですが、自分が好みの生配信中の一般人ライバーに対して視聴者は仮想空間上で購入したプレゼント(投げ銭)を渡し、それがライバーの報酬と変わっていくというモデルのビジネスが今は成り立っているのです。

 

そしてこれらのシステムは中国で先行していた成功モデルを後追いする形で日本に広まったのです。

後追いと言えばキャッシュレスのスマホ決済において日本は完全に中国や韓国などを追いかける展開をたどっています。

 

キャッシュレスに紐付いて中国では現在、嘀嘀打车などのタクシー配送サービスアプリを誰もが使用しています。

 

アプリを使用してタクシーを呼び出せばGPS機能を通してタクシーはユーザーの現在地まで迎えに来てくれるし、目的地を運転手に伝えなくても予め打ち込んでおいた住所先まで送り届けてくれる便利さです。

しかも下車の際もアプリ内で決済してくれるので財布を出してお金のやり取りをする必要すらありません。

レンタルバイク市場も日本とは比べ物にならないほど盛んです。

これらのサービスも全てスマホ決済と紐付いており、アプリの登録者はスマホ決済で街中至るところで見かける自転車を自分の好きなタイミングで使用することが出来るのです。

 

中国在住の日本人が日本に帰国をすると、「日本は現在中国に比べて不便だ」という声を最近よく耳にするようになりましたし、僕も中国に度々訪れる中で同様のことを感じることがあります。

ですが最近では一気に多数の業者がレンタルバイク市場へ参入したことを発端にして撤退業者が相次ぐなど、一時期ほどの活況さはなくなっている実情もあります。

日本が中国のサービスやコンテンツを後追いする機会が増えているといっても必ずしも全てがネガティヴなわけではありません。

 

中国の様々な先行事例を参考にしながら市場開拓に繋げていけるという有利な側面もあるのです。

 

日本を先行している中国ビジネスから検証する今後のマーケットの動向に注目!

日本を先行するビジネスモデルやマーケットが中国ビジネスに次々と出現している中、我々日本人が今後真剣に考えて取り組むべき行動は悲観することではなく、新しいビジネスやマーケットにおけるチャンスの模索ではないでしょうか?

 

そう考えた際、今後日本が後追いする中で最も熱い市場にライブコマース市場が挙げられるでしょう。

ライブコマースとは分かりやすく説明すればスマホやアプリを利用した通販番組のようなサービスです。

 

スマホからお届けするジャパネットたかたのような生放送の通販番組だとご想像してください。

前述したSHOWROOMも最近、従来の生放送だけを配信出来るサービスの枠を広げ、ショッピングが可能な通販番組の配信や視聴が可能になりました。

 

また、メルカリやヤフーなどのプラットフォームでもライブコマースがスタートしています。

これらのサービスは日本ではまだまだサービスがスタートしたばかりの新しい市場と言え、 これから市場の更なる拡大化が見込まれている状況ですが、中国ではすでにアリババグループのショッピングサイト淘宝網などで多くのKOLや芸能人がサービスを展開する超巨大市場が生み出されています。

 

アリババ本拠地の中国杭州で開催された日本バイヤー連盟大会にての記事で説明している通り、ライブコマースや越境EC市場は現在急激な勢いでマーケットを拡大しており、その市場規模は世界で1兆ドルに及んでいます。

中国はこの分野でも世界を牽引する市場を持ち合わせているのです。

 

そういった中国の先行事例から日本人が今後抽出出来る情報は決して少なくないのです。

 

メイドインジャパンだから売れるは大間違い!信用力が勝負の鍵!

中国では現在、淘宝網などの越境ECサイトでライブコマースを使用しながら商品を販売する手法が非常に盛んになっています。

その中でも日本の化粧品や健康食品などは高い人気を誇っており、メイドインジャパンの商品は売れやすいという特徴を兼ね備えています。

 

ですが数年前と比較した際、現在は日本の商品ならば何でも売れやすいかと言えば必ずしもそうとは言えない状況になっています。

 

その理由の一つは芸能界から見る中国市場⑤!爆買いに影響を与えたエンタメの力()の記事で伝えているように中国人の日本ブランドへの爆買い特需が収まり、本当に必要と考える商品だけを購入したいという状態に中国人のマインドが変化していることが挙げられるでしょう。

 

また、人気の日本商品はすぐにパッケージなどの見た目だけではオリジナルと偽物との判別が出来ないようなコピー商品がネットや市場に出回ってしまい、メーカーはコピー商品との価格競争に巻き込まれてしまった挙句、利益を奪われてしまうという状況が生まれてしまうことも大きな問題と考えられます。

 

最悪の場合、コピー商品が市場に大量に出回ってしまった挙句、オリジナル商品の信頼や価値を損ない、商品価値を引き下げられてしまい、市場そのものが減少してしまっているという状態も生まれているのです。

そしてもう一点特筆すべきこととして、「誰が販売しているのか?」、「どこで販売されているものなのか?」といった信用力の有無が商売において非常に重要化しているという点でしょう。

 

一連の記事で度々取り上げて来たように中国はキャッシュレス決済をフォーマット化して以降、「企業やお店、個人の信用力」という可視化出来る数値が非常に重要なウェイトをビジネスや社会において占めるように変わって来ました。

オンラインショップを経営する人間の経歴や評価の良し悪しによって、ネットショッピングの売れ行きは大きく異なります。

 

逆にオンラインショッピングに関わらず、オフラインにおいての交通違反や万引き、暴行事件や犯罪などの不正や犯罪はキャッシュレス決済や個人情報と紐付いている為、減点される行動を起こせばオンラインショッピングなどの必要な社会インフラを受けられないリスクも伴ってしまう為、「可視化出来るシステム上の評価」が急速に価値を高めるようになって来ました。

その為、「自分が購入する商品は本当に偽物でないか?」、「安心&信頼して購入するに値する商品か?また、それをどのように見極めればいいか?」といった信用に紐付く情報や窓口となる個人やサイト、お店など場所の特定が大きな影響力を持つようになっているのです。

 

こういった問題の本質的な構造は日本も全く同じであり、インターネットビジネスは対面式のビジネスと異なり相手の顔や様子が見えないからこそ、発信される情報の出元や内容の信憑性が重要視されます。

そして、その点に「相手の顔が可視化出来る生配信におけるライブコマース」が強力な効果を発揮しているのです。

 

ライブコマースならば偽物の人間が販売員を務めることが実質不可能であり、消費者は自分の信頼するネット上の販売員から商品説明を受け、自分の意思で購入を決定することが出来るからです。

 

認知タレントと人気タレントをセパレートすることは物販の売れ行きをも左右する

さて、皆さんは認知タレントと人気タレントという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

平たく言えば認知タレントとはテレビなどの露出も多く、世間の知名度が高いものの実際の人気が低いタレントを指し示します。

 

対して人気タレントはその名の通り実際の人気を伴ったタレントと言えます。

 

人気タレントはコンサートやイベントを開けば瞬時にチケットが売り切れる現象を生むことも珍しくありませんが、実際の人気を携えていない知名度先行の認知タレントは例えメディアをフル活用して宣伝を行ったとしても必要な集客を呼び込めないでいる。

そういった状況を生むことも決して珍しくありません。

人気タレントと認知タレントの最も大きな違いは「信用力」だという声があります。

例えば「このアーティストのライブに行けば絶対に楽しめる。絶対にガッカリさせられない!」というファンへ期待やモチベーションを与えられるアーティストはファンからの信用を得ていると言えるでしょう。

 

逆に食レポをしているタレントが何を食べても「美味しい!」と言っている姿を見て「どうせテレビだから美味いって言っているんだろ?」などと考える視聴者は近年少なくないでしょう。

 

下手をしたらこのようなジャンルにおいてはテレビよりもインスタグラマーやユーチューバーなどの消費者目線で素直なコメントや情報を発信している人間のコンテンツをより重視しているという方も現在は少なくないのです。

この原理は中国のKOLや越境ECマーケットにもそのまま当てはまる事象です。

 

中国で網紅と称されるKOLが多数出現するきっかけになったライブ配信サービスが流行し始めた2010年代初頭、当時最も重要視されたのは「キレイ!可愛い!」などのビジュアルでした。

見た目が可愛い一般人は瞬く間に人気が広がってKOLとしての地位を確立し、他愛のない会話を視聴者と繰り返しているだけでも月収数百万円を超える収入を得ていた!というKOLが相当数存在していたのです。

 

ですが黎明期が過ぎ、ライブ配信のプラットフォームやKOL人口が拡大してマーケットが飽和するようになると、より細かな価値提供の出来るKOLにこそ信頼や人気が集まっていくようになります。

その状況は越境ECサイトでライブコマースがスタートするようになるとより顕著になります。

 

人気KOLから「自分を覚えてもらいたい」、「心象を良くしたい」という目的で仮想空間上でおヒネリの投げ銭をして自己満足感を得ている消費者とは異なり、ショッピングチャンネルを見ている消費者はそもそも「商品」という物質的なサービスを求めているのです。

当然ながら偽物などいらないし、自分にとって必要だと感じる商品にこそお金を使いたいと考えているのです。

そこでフォロワーの数は圧倒的に多いけれども商品の販売力を持ち合わせていないKOLと、実際に商品の販売力を持ち合わせたKOLとが出現することになります。

まさに人気タレントと認知タレントの差と同様です。

 

フォロワーが多く傍目からは人気が高そうなKOLであっても、必ずしも商品を販売した際に実際の販売力を伴わないKOLが存在するのです。

(もちろん数の原理でフォロワーが多い人物はそれなりに販売能力を発揮しますが、細かく精査するとフォロワー数と販売実数は必ずしも比例するわけではないのです。)

 

ちなみに商品を実際に販売する力が強い能力を中国語では「带貨能力」と言います。

ライブコマースにおいてはこの「帯貨能力」が非常に重要となります。

 

そしてライブコマースで力を持っているKOLの中には説得力や信用力を兼ね備えた帯貨能力が強い人物が次々と生まれている現状です。

 

例えば30kgのダイエットに成功してモデルを務めている人物が自身のダイエット体験などからオススメするダイエットサプリをライブコマースで紹介&販売したり、中国の有名大学で博士号取得したような美人KOLが物理の数式などを用いながらエビデンスや商品の成分などを取り上げて紹介することで消費者から絶大な支持を受けている!などといった事例がその一例です。

越境ECをはじめとしたインターネットビジネスが隆盛を極める中、簡単にコピーされないものの象徴が可視化出来る「人やお店の信用」であり、信用を上積みする為に多くの企業やKOL、バイヤー達が更なる付加価値を消費者へ提供することに力を入れている新たな競争が激化しています。

 

今後日本でも更なる市場拡大が見込まれているライブコマース市場でも同様の流れが加速化していくことが予想されます。

(この続きは芸能界から見る中国市場⑥!越境ECとライブコマースを深掘り検証(中)からご覧下さい。)

 

 

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