香港や台湾のエンタメコンテンツの先には日本が存在していたという優位性

芸能界から見る中国市場②!何故中華圏で台湾や香港が重要拠点なのか?日本人が知らない中国事情の記事でかつて台湾や香港が日本のエンタメコンテンツの模倣をして来た経緯や、そういった背景のもと日本のエンタメコンテンツが台湾や香港で人気を獲得して来た理由を説明しています。

それらの情報を念頭に入れながら下記記事を読んで頂ければより一層深い理解を深めて頂けると思います。

 

そしてそこには爆買いに繋がっていくヒントや爆買いに紐付く歴史が隠されているのです。

詳細は上記リンク先記事で説明しているので割愛しますが、台湾や香港の芸能界がかつて手頃なお手本にしていたコンテンツが日本であった為、台湾や香港には自然な形で日本のエンタメや文化が垣間見れるコンテンツを形成していく文化が根付きました。

そして台湾や香港で日本コンテンツが加工され、形を変えて中国本土や東アジアの各地へ伝わったり流行したコンテンツも数多くあるのです。

 

例えばサザンオールスターズの日本語楽曲が台湾や香港の歌手によって北京語や広東語にカバーされて、そういった中国語楽曲が中国本土やシンガポール、マレーシアなどで二次流行的に流行ることがありました。

また、安室奈美恵さんのようなブランディングによって台湾のみならず中華圏でビッグスターになった蔡依林や台湾の女性アーティストらが日本の渋谷109で買った服をステージや番組衣装にして着ることによって、

「私も蔡依林のようにカッコ可愛い服を着てみたいわ」

と考える中華圏のファンを増やし、日本の109や日本のファッションに興味を持つアジアの若者層を増やしていきました。

このように台湾や香港を介して、日本コンテンツは中国本土でも一定の影響力を培って来た歴史があり、中国人の中には日本への憧れや好意を持っている中国人も一定数存在するのです。

そういった日本へ長い間抱いていた憧れや好意が少なからず爆買いに起因していると僕は考えています。

それはかつて日本人がハリウッド映画や欧米のコンテンツを通してヨーロッパやアメリカのブランドやライフスタイルに憧れを抱いた感覚や様子に近しいと感じます。

 

何故2015年前後の爆買い特需は生まれたのだろう?とエンタメの角度から考察してみる

中国人は近年お金持ちが増え、ビザが緩和されたことで日本を訪れやすくなり、それまでの近くて遠かったかつての日本に手が届くようになった中間所得層が沢山います。

 

2015年の特需とも思える際立った爆買い現象にはこれまで手が届かずにいた中国人の日本への憧れが反動のように爆発して表れた側面も少なからず起因していたであろうと個人的に感じるのです。

他方、中国人旅行客が日本で消費する爆買いは2019年現在も大きな収益を日本に生み続けているものの、2015年の特需のような状態に比べれば落ち着いた感を抱く日本人は少なくないと思います。

 

当然沢山のスーツケースを抱えて買い物するような中国人は少なくなりましたし、1回の旅行における1人当たりの個人支出額は減少しています。

 

ですが、冷静に考えれば本当に欲しいモノや体験だけに消費をするようになりつつある現在の爆買いの形こそがむしろ本来正常な姿に近いと言え、長年中国人が日本へ抱き続けて来た憧れが消費という形で爆発した2014〜16年前後の爆買い現象は多少異常であったと捉えるべきだと思います。

 

また、

・中国人訪日客数は年々増加している
・越境ECサイトなど中国人がオンライン上で日本商品を購入する割合は伸びている

(詳しいデータなどはアリババ本拠地の中国杭州で開催された日本バイヤー連盟大会にての記事を参照してください。)


・中国人訪日客約2人に1人はリピーターであり、リピーターによって生み出される消費に切り替わっている

 

このようなデータにも注視すべきだと思いますし、爆買いの形は以前とは大きくその姿形を変え、常にアップデートされながら現在もなお続いていると捉えられるのです。

 

ですが、この爆買い現象や各種日本コンテンツの人気はいつまでその影響力を保持していけるのか?と考えてみる必要があるのではないでしょうか?

 

今後の爆買いの変化の流れを読み、対策を考える

前述してきたように爆買いの流れは少しずつその姿形や中身を変えています。

 

オフラインではモノからコト消費へと移行していますが、オンライン上では越境ECによる日本の化粧品や健康食品などが年々売り上げを伸ばしている状況です。

また、今後も中国人を中心とした外国人に日本への消費を呼び込んでいくことを考えた際、これまでと同じようなサービスや施策だけを行なっていれば安泰か?と言えば、決してそうではないでしょう。

日本の商品やサービスを外国人に選び続けてもらうには当然ですが諸外国の展開する商品やサービスとの国際競争に打ち勝つ必要がありますし、現在はまだ世界において日本に優位性がある日本のブランド力もその優位性をいつまでキープ出来るかは誰にも分かりません。

 

中国メーカーも近年は国内での高性能商品の生産力やブランディング力、影響力を高めつつあるので、そのうち「わざわざ日本のモノを買わなくても中国産のモノを買えばいい」と考えるようになる中国人が今後増えても不思議ではないと予測出来ます。

芸能界から見る中国市場④!爆買い現象から読み解く未来の日本の在り方 の記事で説明している通り、今後は東アジアの国々の生産力やブランディング力も世界での影響力を増していくことが予想され、AIなどのハイテク技術により世界のこれまでのモノづくりや常識の形が急激に変化を迎えようとしている最中、高次元で高機能な製品だけの競争を日本が挑み続けることは得策でないと個人的に考えます。

むしろ高機能や高性能なモノづくりの在り方は世界中のメーカーが標準装備をしていく時代を迎える可能性があり、今後は「良いモノだから売れる」という商売の在り方が「良いモノだし、その商品のストーリーがあるからこそ売れる」という付加価値をセットにした商売の形が世界中でフォーマット化されるのではないか?と考えます。

 

例えばAKB48商法はその象徴例でしょう。

 

AKB総選挙の投票券や握手会での握手券が手に入るという特典を付けたCDの販売方法により、本来主商品であった音楽の在り方は握手やアイドルと直に触れ合う機会を得られるという「付加価値」にこそ重きが置かれる新たな音楽市場の形を作りました。

もちろんこのような新しいサービスや概念と並行して、従来型のマーケットやモノづくりやサービスの在り方は今後も残っていくと考えます。

 

ですがインターネットやSNSでの情報価値化やAIなどの技術革新は今後益々活発化するでしょうし、情報やモノの在り方や価値観は更に分散していくことになると予測出来ます。

 

そのような時代を迎えるにあたって我々が特にブランディングに力を注ぐべき視点に「付加価値」をどのように提供していくか?というストーリーにヒントがあると思うのです。

そのストーリーを描くプロがエンターテイメント業界に携わる制作者や俳優や歌手などといったエンターテイナーであり、そういった人材や資源の有効活用は日本の国益に繋がっていく重要な資源となりうるのではないかと考えるのです。

 

アジア人に日本人が愛されるきっかけや爆買いの土台もエンタメに紐付いていた

では、エンターテイメントと日本の異業種の商品やサービスとがビジネスとしてどのようにマッチング可能なのか?をおさらいしてみましょう。

例えば安室奈美恵さんや浜崎あゆみさんに憧れた若い女性がミニスカなどのファッションやメイクを真似したり、または人気のドラマやアニメの聖地巡礼に出掛けるファンが出現したり、人気の主演俳優がドラマで使っていた最新の携帯電話が放送後に大ブレークする。

このような形で流行が生み出されたことは過去にも往々にしてあります。

 

時としてエンタメや芸能人には「コトやモノの消費」に対して多大な影響を及ぼす力があるのです。

 

そしてそれは国境を跨いで爆買いのような現象を生む原動力に繋がることがあるものです。

 

例えば漫画「スラムダンク」の聖地とされる鎌倉高校前駅の踏み切りには週末ともなると数百人のアジア系の観光客が訪れる現象が頻繁に起きています。

 

スラムダンクを知らない人から見たらただの踏み切り以外何も存在しない場所に多くの台湾や香港、中国人などが訪れるのです。

特筆すべきはスラムダンクは1996年に連載を終了した20年以上も前の作品であるということです。

 

当然スラムダンクの連載終了から20年以上が過ぎた現在でもスラムダンクを大好きだというファンは日本にも大勢います。

僕もその一人です。

 

ですが20年以上前の日本のコンテンツが2019年現在、アジア中のファン達を鎌倉という聖地に足を運ばせているという事実!

それってとんでもなく凄いことだと思いませんか?

漫画やアニメ、ドラマや映画の聖地巡礼は今や日本のあちこちで起こっている現象です。

 

2010年公開の中国映画「狙った恋の落とし方」は中国で大ヒットすると作中で重要拠点として描かれた北海道がたちまち中国人にとってキラーコンテンツ化しました。

中国人の北海道人気には「狙った恋の落とし方」の影響が非常に強く起因していると言われているのです。

 

また、エンタメコンテンツの及ぼす影響は聖地巡礼に限りません。

例えば去年日本でも話題を集めた映画「ボヘミアンラプソディー」の大ヒットに伴い、クイーンは世界中で再注目されることになりました。

 

当然クイーンのCDやDVDが再び売れるきっかけになったし、映画に感化された人の中にはクイーンのようにカッコいい音楽を演奏してみたいと憧れを頂き、楽器を購入したりボイトレに通い出す人だっていたかもしれません。

青春時代にクイーンの音楽を聴いて育った世代の方々にとっては熱い思いを再び呼び起こされるような衝撃を感じつつ、映画に見入ったという方は少なくないはずです。

僕もクイーンが大好きなので興奮しながら映画に見入った一人です。

 

そして僕の場合、日本のアーティストならばサザンオールスターズの皆さんが大好きです。

 

真夏の果実のイントロが流れてくるだけで毎回涙しそうになるぐらい切ない気持ちや感動に包まれます。

その気持ちは何年経っても色合わせることはないし、サザンが活動している時期も活動していない時期であっても、僕にとってサザンオールスターズの存在や歌が僕の人生と共にあることは以前から全く変わりがないのです。

サザンの歌を聴けば茅ヶ崎の海にドライブに行きたくなったり、「あの頃はサザンの歌を聴きながらよくあのレストランに行っていたな」などと昔懐かしさに思い出のレストランに出掛けてみたくなることもあります。

 

同じように皆さんもきっと街中でふと懐かしい思い出の歌を聴けば、当時付き合っていた彼氏や彼女との甘い思い出が一瞬で蘇ることなどもあるだろうし、過去を思い出しながらカラオケに行って当時好きだった歌を歌いたくなったりすることだってあるかもしれません。

上述してきたようにエンタメには今後のトレンドや文化を育てていく側面と、何年経っても色褪せることのない普遍的な価値観や思い出を人々に植え付けていく側面との両面があります。

 

ファッション誌が「今春のトレンドカラー」などと特集を組み、流行やトレンドを生み出すことや安室奈美恵さんが多くのアムラーを生み出したような現象はまさに前者であり、街中で耳や目にする懐かしい音楽や映像や写真が当時の記憶や好きでいたものまでもを一瞬で呼び起こしてしまう現象は後者と言えます。

この「付加価値」を日本の商品やサービスなどと紐付けて日本の新たな発信力や存在感として世界に販売していくことは非常に重要なブランディングだと考えます。

スラムダンクが連載を終了してもなお世界中の人々に長く愛され続けているように、今後の日本人が発信するコンテンツ&商品各種が一過性ではなく、長く愛され続けていくブランディングを我々は発信するべきです。

 

そのストーリーを描くのにエンタメの力とエンタメを使った新しいサービスの世界戦略の在り方が今こそ求められているように思います。

 

では、次回の最終章で最新の中国トレンドの話題に触れながら日本の世界戦略を皆さんと考えたいと思います。

引き続きお楽しみに!

 

 

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